お手紙

お手紙

身近な家族との別れを体験したのは去年の2月で、小さい頃から一緒に住んでいた祖父が癌で亡くなりました。
いつかは別れの時がくるとは想っていましたが、その日が急に来て本当に悲しかったのを覚えています。
89歳で大往生と人は言いましたが、もう二度と会う事ができないと考えただけで今でも胸が苦しくなります。
祖父のお葬式を終えて、お葬式に来ていただいた方へのお返しを準備していた4月の初めに、今度は父の癌が分かり、6月に父が他界しました。64歳でした。
その時の衝撃は、今でも忘れる事ができず、私の人生において、一番つらく悲しい出来事です。

泣き暮れる母と不安でいっぱいの私は暇があればお寺にお伺いし、ご本尊を見つめ、ここがあの世とこの世を通じさせる事ができる場所だと教えていただき、父に何度も話しかけました。
この日から月命日の度に泣きながらお参りしました。
何にすがり、どう生きていいか分からない時、お寺のご住職が言われた強い口調の一言が私たちを救いました。
今でもはっきりと覚えています。
母がご住職に「また父に会えますか」と泣きながら聞くと
ご住職は、
「当たり前です、あなたが一生懸命に今を生きる事ができれば必ずお父さんに会えます。だからあなたはあなたの生命(いのち)を尊び大切に生きなければなりません。」
強い口調ではっきりと仰られたこの言葉は、人生の中で一番心に残った言葉です。
そして私たちはやっと前が向けました。
今を一生懸命生きなければ父には会えないんだ、全ての事に感謝する日暮しの大切さをお聞かせいただきました。
その時のご住職の厳しくそして本当に優しい言葉が生きる糧になりました。

私も母も一生懸命感謝を持って今を生きています。
生かされている生命(いのち)に感謝し、空気のように父と祖父に包まれながら。

本当にありがとうございました。